ものづくり補助金「省力化(オーダーメイド)枠」について考えてみた
去る令和5年12月27日に「ものづくり補助金(第17次公募)」の、令和6年1月31日に「ものづくり補助金(第17次公募)」の公募がそれぞれ開始されました。
(申請受付は令和6年2月13日(17次)、令和6年3月11日(18次)からです。)
この補助金は、中小企業等が行う、革新的な製品・サービスの開発や生産プロセス等の省力化を行い、生産性を向上させるために必要な設備投資等を支援するための補助金となっています。
今回の予算の成立(令和5年度補正予算)から新しく新設された申請枠が存在します。
それが、「省力化(オーダーメイド)枠」です。
今回はこの新しい申請枠である「省力化(オーダーメイド)枠」について解説していきます。
補助率・補助金額
この補助金の概要は次のとおりです。
従業員数により、上限が定められていますので注意が必要ですね。
従業員数 | 補助金額(上限) | 補助率 |
5人以下 | 750万円(1,000万円) | 1/2(小規模事業者、再生事業者は2/3) ※補助金額により一部1/3(1,500万円超える部分) |
6~20人 | 1,500万円(2,000万円) | 同上 |
21~50人 | 3,000万円(4,000万円) | 同上 |
51人~99人 | 5,000万円(6,500万円) | 同上 |
100人以上 | 8,000万円(1億円) | 同上 |
特徴
この申請枠の大きな目的は、「人手不足の解消等を目的とした生産プロセス等の省力化の取り組みを強力に支援」することにあります。
つまり、設備投資が、人手不足の解消や省力化に繋がるような設備投資でなければならないということです。
また、昨今の日本の状況として、30年以上続いたデフレ脱却のため、積極的な賃上げや投資を推奨しています。
事実、足下の日本経済は、30年ぶりの高水準の賃上げが実現し、また国内投資は100兆円という過去最高水準の見通しとなるなど、大きな潮目の変化が生じており、デフレから脱却できるチャンスを迎えているとも言えます。
この補助金はそのようなチャンスをつかむために、自社の事業をより高収益化するための補助金であると言えます。
申請の要件
「省力化(オーダーメイド)枠」では、補助金額をみていただいたとおり、それぞれの事業者のビジネスプロセスに応じたオーダーメイド型の省力化投資について強力に支援されることとなります。
申請にあたっては、賃金上昇などのものづくり補助金の基本要件の他に、以下の追加要件を満たす3年~5年にわたる事業計画が必要です。
- 事業計画期間(3~5年)内に、設備投資実施前と比較して労働生産性(付加価値額/[労働人数×労働時間])が2倍以上になること。
- 事業計画期間(3~5年)内に、投資回収が可能であること。投資回収年数は、「投資額/(削減工数×人件費単価)」で算出
- 外部SIerを活用する場合、事業計画期間(3~5年)において必要な保守・メンテナンス措置を講じること
- 事業資金について、金融機関等の資金調達を予定している場合は、金融機関の確認書を提出すること
それではこの申請要件について、ひとつづつ解説していきましょう。
労働生産性が2倍以上
付加価値額を労働人数×労働時間で除した数値が2倍以上というルールです。
この付加価値額とは、「営業利益+人件費+減価償却費」で算定される値です。
この中における人件費とは役員報酬や給与、賃金の他、福利厚生費、法定福利費なども含めます。
この数値を3年~5年の間に2倍にする必要があります。
投資回収が可能
一定の算出式に基づき、投資効果を数値化する必要があります。
そのため、申請に当たっては設備を導入することにより、削減できる工数の見積や人件費単価の設定が必要となってきます。
今まで以上に投資効果を判定した上での補助事業の実施(計画)が必要となってくることが予想されます。
外部SIerを活用する場合における保守・メンテナンス措置
外部のSIer(=SystemIntegrator(システムインテグレーション)業務を担当している企業)を活用する場合においては、その事業計画において、保守・メンテナンス措置を講じなければなりません。
事業計画においてもその旨をしっかりと記載する必要があります。
金融機関の確認書
補助事業実施時において、借入を行う場合においては、金融機関から融資の確認書を受領し、提出する必要があります。
これは事業再構築補助金などにおいて、採択を受けたものの、資金繰りがうまくいかずとん挫したケースが散見されたため、それを防止するための措置の一環であると推測できます。
いずれにせよ金融機関も直ぐに確認書を作成することができないため、早めに相談する必要があります。
どのような案件が採択されやすいか?
本補助金は、オーダーメイドの設備を導入しなければなりません。
汎用的な設備ではそもそも申請要件を満たしていないことになります。
そのような観点からですと自社に適合した設備やシステムを導入しなければならないため、自社の課題を明確に事業計画に記載した上で、その解決が図れる設備を作り上げていく必要があります。自社独自のシステムの開発なども採択されやすいのではないでしょうか?
採択されるためのコツについては、次のとおりです。
公募要領への理解
公募要領に記載されている要件、審査項目をしっかり理解した上で、審査項目を事業計画書に適度な量で反映させなければなりません。
事業計画は提出枚数も限られていることから、いかに審査項目、要件を限られた紙面でアピールするかが重要になってきます。
カスタマイズ・オーダーメイド
前述のとおり、本補助金はオーダーメイドの設備でなければなりません。
審査項目においても、以下のような記述があります。
・システム開発については汎用的に利用できるパッケージシステムを元に、顧客の希望に合わせて機能を追加するなどのカスタマイズを行う開発方式や、システムやソフトウェアをゼロからオーダーメイドで開発する開発方式となっており、オーダーメイドの取組になっているか。
・人手不足の解消に向けて、デジタル技術等を活用した専用設備(オーダーメイド設備)の導入等により、革新的 な生産プロセス・サービス提供方法の効率化・高度化を図る取り組みに必要な設備・システム投資等となっているか。
このような記述をしっかりと把握し、事業計画へ反映させることが採択への近道です。
カスタマイズやオーダーメイドの内容をしっかりと記載し、汎用品との区別を行う必要があります。
口頭審査
上記の他に、今回のものづくり補助金の公募から、一定規模以上の申請を行う事業者を対象に、オンラインでの口頭審査という審査項目が導入されました。
所要時間は1事業者15分程度とされています。
外部の申請支援会社に依頼し、丸投げすることに対する防止策であるとも言えます。
弊所へご依頼の場合は、もちろん事業計画をしっかりご理解いただいた上で、申請を実施する「伴走支援」をモットーとしておりますので、このような新しい審査項目に対してもしっかりとサポートできる体制が構築されています。
いかがだったでしょうか?ものづくり補助金には、「賃金引上げ要件」などの条件をクリアしなければならないため、申請に際しては計画を綿密に策定し、申請することをお勧めいたします。
最近は、補助金バブルも落ち着いてきているようですが、一時期は高額な補助金に目を付けた悪徳コンサルタントが横行し、大したサービスも提供せずに多額な報酬のみを払わされるといった事案が散見されました。
そのようなコンサルタントを駆逐することを目的としているであろう審査項目も今回は新たに設けられています。
弊所は、申請から入金までしっかりとサポートできる体制を構築しております。
申請にお困りの際はぜひご用命ください。
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(ものづくり補助金リーフレット①)
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