省力化投資補助金と今後の補助金について考えてみた
中小企業省力化投資補助金が開始され数か月が経過しました。
私の周りでも徐々にではありますが、この補助金を活用した事例もしくは活用しようとする企業などが増えてきているように感じます。
昨今の事業再構築補助金と比較するとかなり静かなスタートであることは否めませんが、私は逆にそれが素晴らしいことであると思います。
なぜか?
それは、補助金を利用したコンサルタントビジネスが縮小していると考えることができるからです。
高額なコンサルタント報酬は、補助金を活用し事業を再構築しようとする事業所にとって負担となり、また採択だけを狙った現実味のない事業計画の作成は結果、まったく事業再構築の役に立たないものとなり、補助金を受給した事業所が廃業してしまうことも多くありました。(←過去形のように書いていますがこれは現在進行形です。)
カタログによって補助対象経費が決まるため、申請する業種を選んでしまうなど、デメリットや改善するべき点も多々あることは否めませんが、スムーズな補助金申請を目指している補助金であり、中小企業の早期の生産性向上には活かせる野ではないかと思います。
今回はそんな省力化投資補助金について改めて考察してみるとともに、今後の補助金の流れを予測していきたいと思います。
省力化投資補助金とは?
人手不足解消に効果があるロボットやIoTなどの製品を導入するための経費を国が補助することにより、簡易で即効性がある中小企業の 省力化投資を促進し、売上拡大や生産性向上を図るとともに賃上げにつなげることを目的とした補助金です。
(中小企業庁リーフレットより引用)
簡単にいうと、ロボットや機械を活用し、自動化にすることで人手不足を解消し、従業員生賃上げを目指してほしいという趣旨の補助金になります。
具体的には次のような特徴を有しています。
補助金の概要
従業員数5名以下 補助金額上限 200万円(賃上げ目標を達成した場合300万円)
従業員数6名~20名 補助金額上限 500万円(賃上げ目標を達成した場合300万円)
従業員数21名以上 補助金上限額 1,000万円(1,500蔓延)
※ 補助率1/2以下
補助対象の設備については、カタログから選定する。
この補助金は、省力化のための設備が対象となり、対象機器が登録されているものから選定するといった特徴があります。
そのため、今までのように自社にあった製品を好きに選ぶわけではなく、一定の要件を満たした製品の中から選定することでスピーディーな補助金申請が行えるようになっています。
カタログに登録されている製品は逐次更新されており、対象設備も増加しています。
詳細は下記のURLをご参照ください。
申請支援は販売事業所が実施する。
この補助金は、今までよく行われていたコンサルタントに事業計画書の作成支援を行ったりするもの(←無理に支援を依頼する必要はありません。より良い事業計画書の作成のための依頼であると思ってください。)とは異なり、販売事業者と共同で申請を行うこととなっています。
IT補助金などと近いイメージですね。
カタログから製品を選定したら、対象製品ごとに記載されている「販売事業者一覧」により販売事業者を選定し、サポートへ連絡する仕組みとなっています。
この補助金は、製品の販売事業者と児湯道で事業計画を策定することが必須であり、販売事業者から招待を受けて初めて入れる専用の申請フォームから申請を行うこととなっています。
このフォームは一般に知らされているわけではなく、必ず販売事業者を介さなければならないといった点がものづくり補助金や事業再構築補助金などと大きく異なる点であると言えます。
提出書類について
ここでは提出書類を掲載しています。
応募に際しては、申請の内容に応じ必要な書類を必ず添付するようにしましょう。
提出書類に不足がある場合は、事務局の審査で不備となります。
①貸借対照表、損益計算書(前期、前々期の2期分)
②従業員名簿
③【法人】履歴事項全部証明書(発効から3ヶ月以内のもの)
④【法人】納税証明書(その2)(直近3期分)
⑤【法人】役員名簿(指定様式)
⑥【法人】株主・出資者名簿(指定様式)
⑦【個人事業主】確定申告書の控え 第一表(直近1期分)
⑧【個人事業主】所得税の納税証明書(その2)(直近1期分)
⑨【人手不足の場合】時間外労働時間(指定様式)
⑩【人手不足の場合】授業員減少の確認用(指定様式)
⑫【人手不足の場合】求人募集したことを証明する書類
⑬【大幅な賃上げ対象者】最低賃金者の賃金台帳
⑭【省力化計画】省力化効果判定シート(指定様式、販売事業者が添付することになっています。)
補助金の今後
これは完全な私見ではあるので先行きは不透明ではありますが、私は今後、補助金申請にコンサルタントが支援するような減少していくと思っています。
減少すると思っているし、それで良いとも思っています。
本来経営コンサルタントとして行うべきは、その設備投資の補助金申請ではなくその設備投資の投資効果の判定や導入後の最適化支援などであると考えるからです。
また、これまでの補助金は執行の可否を判断するために手続きが煩雑であり、入金までに時間がかかるという弱点がありました。
当補助金は、比較的にではありますが、スムーズな入金を目的としており、今後制度が確立していくことで更に利便性が高まることも期待されます。
補助金はあくまでも必要な事業所のためであり、ばらまきではいけません。
適正な活用が求められます。