単価を上げるために必要な3つのこと

物価の上昇により、事業活動における資金繰りが難しくなってきている事業所様も多いことと思います。

そのような際に行うこととしては「値上げ」が一番効果的です。
現に、物価が上がるということは、原油価格の高騰、人件費の上昇といった状況により大企業などが「値上げ」を行っているから様々なものの値段が上がってきていると言えます。

しかし、中小企業は値上げに消極的なことが多いです。
理由は、取引先企業から取引を切られる。お客が来なくなる。といったことが大半です。

しかし、この現状指をくわえてみていては、経営はどんどん悪化するばかりです。
今回は値上げの方法をいくつか挙げみます。

自社に合ったやり方があれば幸いです。

値上げの必要性

値上げが必要であることはわかっていてもどれだけの効果があるのかを改めて把握している人は意外に多くありません。

ここでは、値上げを行うことでどの程度の効果があるのかについて、例を示してみます。

例えば、以下のような企業があった場合における5%の値上げと2%の値上げの効果を挙げてみます。

【売上高(年商)】1,000万円

【仕入】400万円

【経費】500万(家賃、人件費、光熱水料など)

【営業利益】100万円(営業利益率10.00%)

2%の値上げの場合

上記のような店舗があった場合において、2%の値上げを行った場合は次のとおりです。

【売上高(年商)】1,020万円

【仕入】400万円

【経費】500万円(家賃、人件費、光熱水料など)

【営業利益】120万円(営業利益率11.76%)

5%の値上げの場合

また、5%の値上げを行った場合については次のとおりです。

【売上高(年商)】1,050万円

【仕入】400万

【経費】500万(家賃、人件費、光熱水料など)

【営業利益】150万円(営業利益率14.28%)

1個当たり100円のものを年間10万個売ることで1,000万円になりますが、それを102円にするだけで営業利益が1.76%向上することになります。

5%の値上げに成功し、105円で販売すると4.28%といった飛躍的な利益率の向上を図ることができます。

事例の企業は黒字の企業でしたが、赤字の企業でももちろん同じです。

少しの値上げで大きな営業利益率の改善を図ることが可能となります。

販売数の減少

しかし、たった2%程度の値上げであっても消費者というものは値上げには敏感です。

「そんなにうまいことはいかないだろう」

そう思われることが普通です。

確かに、値上げは販売数量に影響することは間違いないと思います。販売数が減少することが普通であるといっても良いかもしれません。



ここで重要なことは、そのような状況も踏まえた上で、粗利率(売上高総利益率)や営業利益率を向上させることができるか否かです。

販売数量が減少しても、結果的に営業利益を控除す焦ることができれば値上げの効果はあったと判断することが可能となります。

先ほどのケースで考えてみましょう。

【売上高(年商)】1,009.8万円(単価)102円×(年間販売数量)99,000(廃売数量1,000個減少)

【仕入】400万円

【経費】500万円

【営業利益】109.8万円(営業利益率10.87%)

このケースは値上げにより販売数量が1、000個減少した場合を想定しています。

1,000個販売数量が減少したとしても営業利益率を0.87%向上させることが可能となり、値上げの効果があることがわかります。

値上げとは値上げの金額と想定される販売数量の減少を踏まえた上で、営業利益率を向上させることが重要な目標となります。

値上げを行うために必要なコト その1 商品の選定

値上げを行う上で必要なコトの第一として、値上げする商品を決めることにあります。

やみくもに自社の商品やサービスの価格を上げたところで、先ほどのように販売数量が減少するだけで、トータルの効果を得ることができません。

値段とは、その商品やサービスの価値と言えます。

商品力の低いものやサービスに高いお金を出す人は稀でしょう。


つまり、値上げをする商品とは、その商品やサービスに価値があると思わせることができるものでなければならないということです。

そして、この価値というものは変動します。
例えば、鳥インフルエンザで鶏が処分されると、鶏肉は高くなります。

なぜ高くなるのか?

それは鶏肉を食べたいと思う人(=需要)に比べ供給量が減ることでその鶏肉の価値が上がるからです。


もし、世の中に牛肉や魚肉が存在せず、鶏肉だけしかない場合(普通ありえませんが…)であればその価格は急激な高騰をするでしょう。


今の例は特殊な場合ですが、全てにおいて商品やサービスには存在する価値があります。

その価値にみあった値上げであれば現在の価格よりも高くなっても購買数の減少は最小限に抑えることが可能となります。

値上げを行うために必要なコト その2 値上げに納得感をだす

先ほどの例のとおり、供給量が減少するなどといった状況であれば、ある意味納得することが多いと思います。

では、供給量が減少しなければ値上げはできないのでしょうか?

そのようなことはありません。

先にも述べたとおり、価値を上げることで値上げに納得感を増すことができるようになります。

しかし、価値を上げるとはいっても簡単なものではありません。

それではどのようなことが価値の増幅につながるのでしょうか?

・値上げはしたが量が少し多くなった。

・世間一般的に価格が高騰していることが認知されてきている。

・「地域でここだけ」、「〇〇地方初」などの特別感がある。

単純な値上げは顧客の離反を招きますが、工夫することでその離反を減少させることができます。

例えば、焼きそばを提供しているとして、豚肉が高騰してきたから価格をあげなければならないといった事態にあったとします。

そのような中で単に豚肉分を値上げだけをするや量を減らすステルス値上げなどと行うと顧客満足度が低下してしまうだけになってしまいます。

しかし、例えば値上げしていないキャベツやもやしなどで量を増やし増量を宣伝してみてはどうでしょうか?

単純に値上げをするよりは、顧客満足度の低下を防止することが可能になると思いませんか?


ただしターゲットを踏まえた上での策にはなります。元からあまり量に興味がない顧客層(例えば女性、年配の方がメインターゲット)にこの策はあまり効果はありません。

自社のターゲットをよく理解した上で効果的な値上げ方法をとることが必要です。

値上げを行うために必要なコト その3 情報を提供する

当然の話ではありますが、基本的に物を売る、食べ物を提供する、サービスを提供するなどといった行動が行われる場合、提供する側と提供される側においてはその価格を構成している内容に関する情報の量に差があります。

一般的に、ご飯を食べに来たお客様がなんとなく鶏肉の値段が上がっていることは感じていても、スーパーに並ぶ鶏肉の金額と飲食店に卸される鶏肉の金額の違いをそもそも知らないわけであって、仕入れ価格にどの程度影響を受けているのか細かいところまで認識しているお客様は同業者、関連業者以外にはありえないでしょう。

そのような状態では、いくら納得をしてもらおうとしても納得しにくいところもあります。

これは、食品価格の高騰以外においても同じです。
例えば新しいサービスを提供する上で、その価値、メリットを正確に把握していなければ不当に「価格が高い」と判断してしまうかもしれません。


そういった意味において、情報を提供するという行為は、値上げ実施時において、必ず必要なコトであると言えます。

先ほどの価格高騰の他に、〇〇初の提供や新しいサービスの提供で顧客が得られる効果など

適切なタイミングで情報を提供することこそ、価格に納得をしてもらう上で重要な要素となってくるのです。


以上が値上げに重要な3つのことになります。
今回は、簡単に値上げの方法について、述べてみました。

実際に値上げをする際は、精緻な調査や価値を上げるためのPR、情報を提供する頻度の調整など様々な施策を実施する必要があります。

今回の内容を踏まえた上で、ご自身の事業に合った値上げ率をしっかりと見極めてて営業利益の確保に努めたいところです。

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