今後補助金を活用していく上で重要なこと
事業再構築補助金12次公募の締め切りとなり、2021年から始まったこの補助金もこれでひと段落しそうな様相を呈しています。
この補助金は中小企業を対象とした補助金としては桁の違う補助金であり、この補助金受給をきっかけに事業の再構築を成功させ新型コロナウイルス感染症や物価高等の様々な苦境から脱出した事業所もあれば、悪質なコンサルタントの介入などによる不正受給が発覚し、補助金交付の権利を失ってしまう事業所も数多く存在しました。
また、せっかく補助金の採択を受けたものの、補助事業の途中で廃業せざるを得なくなった事業所様も多く存在します。
補助金は事業所にとって大きな手助けとなるはずであったのに、なぜこのようなことになってしまったのか?また、どのような経営を実施することで補助金を上手に活用することができるのか?
今回はそのようなお話です。
補助金活用のために重要なこと その1 資金繰りは大丈夫か?
補助金は、購入をする製品や工事などが完了し支払いを完了しない限り支給されることはありません。(ただし、一部補助金においては、部分払いが認められているものもあります。)
また、支払いなどを完了させた後にすぐに補助金が支払われる例もあまりなく、支払いの証憑書類とともに補助事業の成果を報告(=補助金により異なりますが実績報告などと呼ばれています。)し、支払いや補助事業による設備等の導入が確認された後、支払われることが一般的です。
この実績報告時に、不備などがあればいつまでたっても補助金は支払われません。
事業再構築補助金を例にとると支払から1年以上補助金の入金がなかったといった例も聞き及びます。
このような状況に備えて、資金繰りにあった設備投資を実施する必要があります。
金融機関との連係により、資金調達がスムーズに実施できる体制の構築を行うことが求められます。
補助金活用のために重要なこと その2 本当に必要な設備なのか?
事業再構築補助金の公募が行われていた時期は、まさに空前の「補助金ブーム」と言われる時期でした。
この補助金は新型コロナウイルス感染症からの一刻も早い回復を目的とした補助金であり、設備投資をスピーディーに行うような制度設計がなされていました。
そのこと自体については、当時の世の中の状況を考慮すると致しかたないものであると思いますが、その反面受給する事業所は、あまり検討する時間がない状態で設備投資を実施してしまうような状況を生み出してしまうこととなりました。
また、新型コロナウイルス感染症により一定の損失を受けた事業所が対象となるため、大多数の事業所が申請要件を満たすこととなり、事業を再構築することが目的ではなく補助金を受給することが目的となっている申請も多数見受けられるようになりました。
そのため、自社の保有するリソースを活用した設備投資にならなかったり、市場調査が不確実なまま設備投資を行うようなことが多くなり、結果として効果があまり見られない設備となってしまうことが多くなりました。
補助事業で購入した設備については、基本的に定めれらた法定耐用年数は使用しなければなりません。無断で売却や廃棄をすることができないため、自由度が少なく結果として事業全体の足かせになってしまうかもしれません。
補助金申請はゴールをしっかり見据えた申請を行わなければ結果として無駄な設備投資となることになるため、慎重を期する必要があります。
補助金活用のために重要なこと その3 予算の流れを知る
大型といわれている事業再構築補助金やものづくり補助金における予算の大半は、「補正予算」と呼ばれる予算で執行されています。
「補正予算」とは簡単に説明すると予算作成後の事情の変更によって、その予算に不足を生じた場合、また予算の内容を変える必要が生じた場合に、出来上がった予算を変更する予算のことをはします。
補助金の場合、予算に不足があるといった理由で補正予算が編成されることが多いとは思われます。
補助金関連の補正予算は概ね12月頃に予算が閣議決定されるため、12月頃になると来年の補助金の情報が概ねわかることとなります。
このあたりを早期にチェックしておくと計画的な補助金申請が可能となります。
ものづくり補助金なども以前は「通年公募」と呼ばれ国の会計年度を通して行われていましたが、2024年度は補正予算が成立してから公募が開始され、半年程度で終わる事が多くなってきています。
これは補助金額の執行のスピードが速くなってきているということが考えられますが、いずれにせよ、いつでも申請できる状況ではなくなってきているため、いままで以上に計画的な設備投資を実施する必要がでてきます。
さいごに
いかがだったでしょうか?
現在、事業再構築により起こった補助金ブームは一旦落ち着きを取り戻していると言ってよい状況と言えます。
今後は、より計画的な補助事業の実施と効果の判定が求められることとなってきます。
うまく活用すれば事業所の負担を軽減できる補助金
是非ご活用の上、自社の成長速度を向上させてみてください。