使えるBCPを作るために必要な4つのこと

2024年4月から施行される介護事業所へのBCPの義務化について、対応に苦慮されている事業所様も多いことと思います。

「どうせ作るなら機能するようなBCPを作りたい」

「利用者のことを考えると形だけの計画書ではいけない」

このようなお話を最近はよく伺うようになりました。

ということで今回は「使える」BCPにするために必要なことについて述べていきたいと思います。

従業員の不足

大きな災害時において、従業員が全員ケガなどを負わずに復旧に対応ができるといった可能性は非常に少ないことであると仮定されます。

また、家族などが被災しケガを負うことで、一時的に家族の世話に専念したいといった従業員も現れることでしょう。

道路などのインフラの断絶により、職場に到着することがままならないかもしれません。

そのような状況を考慮すると、かなり少ない人数での対応になることが予想されます。

そのような状況であり、事態に対応できる従業員を減じた上で、復旧対応策を策定することが望ましいと言えます。
場合によっては、指揮官(=経営者層)が不在であるといったことも想定するべきであると言えます。

限られたリソースをフル活用することが求められるため、少ない人員で最大の効果を得るような計画を策定する必要があります。

最小限かつ、従業員が入れ替わっても体制が維持できるような計画の策定が望まれます。

安否確認の重要性

復旧に対応できる従業員を確保するためには、まず従業員(可能であれば従業員家族なども含む)の安否確認をスムーズに実施することが重要です。

安否確認を迅速・確実に実施することで復旧へのリソースを把握することができますし、そのほかの対応も行いやすくなります。

そのためには、平時から安否確認体制の確立と実証(確認)が必要となってきます。

「災害用伝言ダイヤル」の活用のほか、メール、SNSなど通信インフラの状況に応じて複数の確認手段を用意することで可能な限り把握できる体制を構築していく必要があります。

また、通信等が途絶した場合においても、事前に「行動基準」を定めておくことで、被災にあった場合でも、経営者等の指示ができない状態においてもパニックにならず、整然とした行動ができるようになります。

訓練の重要性

中小企業において、限られた業務の時間を割いて訓練を実施するということは困難が伴うことと思います。

しかし、BCPを実践において使用できるようにするには、訓練は必要不可欠なものであると言えます。

経営のセミナーなどでよく「PDCAを回す」といったことが言われることがありますが、BCPにおいて、この「PDCA」こそ最も重要な要素となってきます。

訓練には、従業員の災害対応への練度の向上といった効果の他にも、不足していた対応策の洗い出し、理解力の促進といった様々な効果が期待されるからです。

「P:計画」⇒「D:実行」⇒「C:チェック」⇒「A:改善」

このサイクルを回すことでBCPはその時点における企業にあったものへと変貌を遂げるのです。

従業員が新しく入社しただけでも基本的に今までのBCPは使いにくくなっているものと思ってもらってよいと思います。
成果を上げることができるBCPを作るためには、常に検証⇒改定を続けていく必要があります。

そういった観点からBCPには完成がないのかもしれません。

最初はシンプルに

今までの2点を考慮すると、最初にがっちり固まったBCPを作る事に時間をかけるよりは、最初はシンプルかつ最小限の内容を入れ込んでいた方が、後々の改善がやりやすいことに気づいてくると思います。

もちろん綿密な計画は必要ですが、自社に即していなければ何も意味がありません。

そのような観点から、最初はシンプルなBCPを作って、訓練の過程において、作り上げていくといった考え方もスピーディーな展開には重要な考え方になります。

良いBCPの作成に必要なのは「訓練」⇒「検証」⇒改善といったサイクルです。

まずは「訓練」を行うためのシンプルなBCPを作成してみましょう。



今回はより実効性の高いBCPを作成するためのポイントを説明いたしました。

「備えあれば患いなし」

大規模災害に備え、自社のBCPの積極的な作成と訓練による磨き上げをおすすめいたします。

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