資金繰りを良くするためにまずは実施する4つのこと

 新型コロナウイルス感染症の影響を受けた事業所に対し行われた実質無利子・無担保で融資する仕組み。 通称「ゼロゼロ融資」、昨年末より返済が開始される企業が出てきており、5月頃からそのような企業が急激に増えてくることが予想されます。

 新型コロナウイルスの影響から完全に回復する前に、物価高等の影響を受けている企業も多く存在することから国は、「コロナ借換保証」といった施策により、救済を行う方針ではありますが、根本的な解決にはいたらないことが予想されます。

 事業所としては、資金繰りを改善し返済原資を準備する必要に迫られることとなるでしょう。

 そのような辛い状況ではあると思いますが、資金繰りを良くするための方法はいくつもございます。


 今回はその方法をお知らせいたしますので、ぜひ実行していただき経営の負担を軽減していただきたいと思います。

1 資金管理の徹底

 資金繰りが厳しい会社に多い事象として、社長様自身が損益を把握していないというケースがあります。

 毎月の売上高、売上高総利益(粗利)、営業利益、経常利益の他にかかった費用(売上原価や販売費及び一般管理費)を把握することは資金管理を把握する第一歩であると言えます。
 1円単位まで正確に記憶しておく必要はありませんが、大まかに把握しておくことで資金に関してのアンテナが高くなります。

 そして、損益の把握だけでは正確な資金の把握はできないということを認識することも重要です。実際に利益が100万円あったとしても、当月に100万円の現金が増えるというわけではありません。

 借入の返済や未払金の支払いなど損益計算書に出てこないけれども資金が流出している原因はたくさんあります。

 資金繰り表などを作成し、資金の入出金の管理、残高の把握、計画の策定を実施することを徹底しましょう。

2 金融機関の活用

 中小企業の場合は、株の発行により資金を調達することはあまりありません。
 営業活動を除いて資金を調達する場合は、金融機関を活用することが一般的であると言えるでしょう。

 そのような観点から考えると、いざという時の資金調達力というものは社長様が金融機関とどの程度のお付き合いを行っているかということにかかってくる。とも言えます。

 企業と金融機関との関係の中でもっとも重要なことは「信頼関係」であると言えます。

 事業が順調な場合は、金融機関は何も言わずにお金を貸してくれます。
 それが彼らの仕事であるからです。


 でも事業が順調でなくなった場合は、そうではありません。
 金融機関はお金を貸すことのリスクを少しでも減らそうという行動をとります。

 しかし、普段からのお付き合いをしっかりと行っていればそこに信頼関係が醸成されます。


 信頼関係がない人からいきなりお金を貸してくれと言われても、

 「えっ!?」ってなると思いますが、信頼関係が構築されていればその相談に乗ろうという気になるものです。

 普段から関係を構築することで、自身の危機を救ってくれる存在になってくれる。

 それが金融機関であると言えます。

 関係性が構築されれば、借換などの手段により、返済条件が変更となり資金繰りが楽になる可能性だって考慮することができます。
 いろいろと柔軟な対応を行うためにも関係性は強めておきたいですね。


 また、金融機関との関係性を強化する際に有効なもの。それは事業計画書です。


 事業計画書を作成し、今後の展望を説明する。

 それだけでも金融機関から理解を得ることは可能となります。

3 リスケジュールの活用

 リスケジュール(通称「リスケ」と言います。)とは、金融機関からの借り入れの条件変更を行うことを指します。

 一般的に、①毎月の返済額を減らしてもらう、②一定期間元本の返済を待ってもらうといった対応を金融機関に対し要請することを指します。

 これにより、一定期間のキャッシュフローが改善するため、たちまちに経営が破綻することはなくなります。

 ただし、次のようなデメリットもあるため実施するには最新の注意を払う必要があります。

リスケのデメリット

 一見便利そうなリスケにもデメリットはあります。


 せっかく築いてきた信頼が揺らいでしまうことなどが挙げられますが、何よりもダメージが大きいデメリットは追加の融資を受けることができなくなることです。
 金融機関内における格付けが低下することにより、起こり得る事象です。


【金融機関の格付け】

①正常先

②要注意先

③要管理先

④破綻懸念先

⑤実質破綻先

⑥破綻先

 上記の格付けにおいて、①正常先は金融機関が設定する「貸倒引当金」の率が低く抑えられます。

 これがリスケを行うと③要管理先に格落ちするのですが、こうなることで「貸倒引当金」の率が高くなり、金融機関としても赤字の原因となってしまうのです。

 これを不良債権といいます。


 こういった事情により、リスケ実施後は新たな融資を受けることが極端に困難になってしまうのです。

リスケを実施する際は、経営改善計画の作成が必須

 改善する見込みもなしにリスケをするということはなかなか至難の業であると言えます。

 なぜ、リスケをするに至ったのかを正確に分析しつつ、それを事後の経営に生かすことが大切です。
 また、以後の経営の状況を可視化し、説明することで金融機関からの了承を得やすい状況を作ることも重要です。


 状況にもよりますが、経営改善計画の提出により、要管理先から要注意先へ格上げできる場合もあります。

 経営改善計画は決算状況の悪化を説明した上で、今後の展望を可視化することで銀行の懸念を緩和させる役割を果たします。


 リスケ事態を目的とすることはよくないことですが、企業と金融機関との間で立て直しための施策という共通認識があれば現状を打開する大きな一手となりうる手段であると言えます。

4 売掛金の回収は一日でも早く 支払は1日でも遅く

 資金繰りが上手くいっていない企業でありがちなものが売掛金の管理ができていないということです。

 いくら売上が立ってもそれを回収できていなければ意味はありません。
 一日でも入金が遅れるようなら速やかに連絡を入れ、相手にスキを与えないことが重要です。

 粛々と回収作業を実施することで漏れを防ぎましょう。


 また、支払に関しては少しでも遅い方が自社の資金繰りには良い結果を与えます。
 売掛入金のタイミングと支払のタイミングをしっかりと把握してコントロールすることで良好な資金繰りの基礎を作りましょう。

5 最後に

 いかがだったでしょうか?
 一般的な資金繰り対策について、述べてきましたが資金繰りの対策は各社の置かれた状況により大きく変わってきます。

 自社の置かれた状況をしっかりと分析した上で対策を練っていきたいものですね。


 当事務所では資金繰りの改善支援を行っております。

 資金繰りに困っていらっしゃる事業所様に置かれましてはぜひともご相談ください。

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